あ、1本いいっすか?

Next Writer:Chijun

up-date: Sun, 18, Mar.


Next Writer:Chijun

up-date: Sun. 18, Mar.

2010/07/31

カンナとカカシ (1)

投稿者 Chijun   7/31/2010 0 コメント
「にんげんのかなしみのそこがみてみたい」
少女はそういうと、少年の右手にピストルをのせた。女の子の名前はカンナ、男の子の名前はカカシといった。
カカシはカンナのことが大好きだった。「ぼくはカンナに選ばれたとくべつなこどもなんだ」いつも自分にそういいきかせていた。「ぼくは……ぼくは……」いっしょうけんめい、なんどもなんどもいいながら、お父さんとお母さんのいる部屋へ、冷たく長い廊下をはだしで歩いた。とっても寒い日のことでね、足のうらはじんじんして何も感じない、だんだん頭もぼうっとしてくる。

ぼくはカンナに選ばれたとくべつなこどもなんだ。

気づくと、目の前にはかたくなったお父さんとお母さんがいた。眠っているみたいにも見えるけど、目はぱっちりとひらいていてね。カカシは左のポケットから携帯電話をとりだして、お父さんとお母さんのすがたをカメラで撮った。
それは、カカシ十二才の誕生日のこと。
窓からひとすじさしこんでいた光がとつぜんぐんぐんつよくなる、これはたまらない、と目を閉じようとした、そのとき、

カカシのあたまのなかで、なにかがパチンとつぶれる音がした。

光がおおきな手のようなかたちになってカカシをつつみこもうとしているのが、最後に見えた。



目をあけるとそこはまっしろ。なんてきれいなんだろう――床のうえに大の字になったカカシが最初に目にしたのは、光みたいにぴかぴかなかべだった。
――ぼくは夢を見ているのかな。それともさっきのが夢だったのかな?
「もしも、りょうほう夢だとしたら?」
とつぜんどこからかそんな声が聞こえた気がした。でもね、カカシはちっともおどろきはしなかった。とおく、ずっとずっととおくから響いてくるようなやさしい声で、なんだかとってもきもちいい。

ガサッ!
今度はすぐちかくで大きな音がして、カカシは飛び上がった。するとカンナがかわいいお尻をつきだして、猫みたいに部屋中を嗅ぎまわっている。
「カンナ、ぼくは……
カカシの声なんてまるで耳に入らないみたいに、カンナはあっちこっちかけまわっていた。
「カンナ?」
「ここ! ここはどこなのよ!」
ココ! ココハドコナノヨ! ココ! ココハドコナノヨ! ココ! ココハ……
大きな声が部屋中に響いてこだまして、なんどもなんども耳に返ってくる。それは女の子ひとりぶんの声だけではなくて、まるでぐるりととりかこむ壁までもが、うったえかけてくるみたいだ。
カンナにいわれて、カカシは肝心なことに思い至った。
――ここはいったいどこなんだろう?

そこはしろい天井としろい壁にかこまれた角のないまあるい部屋で、なにひとつ物もおかれていなかったんだ。ドアもついていないので、どうやったら出られるのかも分からない。それでもカカシはちょっぴりうれしかった。探索のほうは早々とあきらめて、部屋のまんなかでひざをかかえてがっくりしているカンナと二人きり、このままずっといっしょにいられたらいい、そう思ったんだ。
カカシはそっとカンナの手を握った。
「て」顔を上げてカンナがいう。
……え?」
「手。つめたいね」
それだけつぶやくと、ふたたびカンナはうつむいてしまった。
……でんきもないのにどうしてこんなに明るいのかな?」
どぎまぎしながらカカシは話を変えようとしたけど、反応はない。しかたなくとなりにこしを下ろし、じぶんも体育ずわりして顔をかくした。

2010/07/22

SNSは人間関係を”小さな町”に変えたか

投稿者 じん   7/22/2010 0 コメント
※更新が大幅に遅れたこと、お詫び申し上げます。内容、更新頻度とも充実できるよう努力いたしますので、今後ともよろしくお願いします。

COURRiER Japon8月号でSNS特集が組まれ、「SNSが人間関係を”小さな町”に変えた」とあった。ソーシャル・ネットワーキング・サービスによって、昔の知人や、パーティで一度会っただけといったような、「遠い知人」とのつながりが、遠いまま、しかし常に意識されるようになったことをさして言った言葉である。「遠い知人」の存在感がSNSによって強くなるというのは実感を持ってうなずける。が、それが「小さな町」、つまり良くも悪くも衆人環視の状況を生みだすまでには至っていないだろう。

私もmixiを利用しており、現在マイミクは60人近く。そのうち一度も会ったことがない人物が6人、小中学校の同級生や以前組んでいたバンドのメンバーなどここ数年合っていなかったり、一度しか会ったことがない人が20人ほど。マイミクのほぼ半数が「遠い知人」である。

いちいち説明する必要もないだろうが、彼らとの交流は主に互いの日記の閲覧とコメントという形で行われる。「今日見た映画が面白かった」「女優の○○がかわいい」などといった日記に対して「俺も好き」「いーなー」などの合いの手を返して終わることがほとんどである。内容としてはちょうど、教室の休み時間で交わされる雑談のようなものだが、休み時間の雑談で得られるような一体感は得られていない。

一体感は「小さな町」には欠かせない要素だろう。お互いどこで何をやっている人間かを把握したうえで、害のない程度のお付き合いをする。井戸端会議で人の噂話をしあい、閉塞的でぬるま湯のような居心地の良いコミュニティをつくりだす。

mixiが完全招待制でスタートした当初、私は、万人に開かれたネット世界に、ムラ社会を持ち込んでどうするのか、と小馬鹿にしていたのだが、周囲の友人はみなあっという間にその社会に取り込まれ、自分も始めなくてはいけないような気がしはじめ、とうとうアカウントを作ってしまった。このときには、間違いなく「小さな町」の一体感が働いていた。が、これはネットの中の話ではなく、あくまで友人同士というリアルなコミュニティ内での一体感である。

一度中に入ってしまうとどうか。マイミクが書いた日々の日記は、リアルで付き合いのある友人との交換日記ではなく、昼ドラのように消費されているように思う。視聴者はその場で短い感想を書き残して行くが、その感想が交換され、共有され、一体感を持って発展していくようなことはまずない。書き捨てられるか、日記を書いた側が、1つ1つバラバラのまま、コメントを返して終わりである。娯楽として消費されるのみで、全体をつなぐような行動にでるユーザーはまずいない。

2000万を超える(RBBTODAY)人間が集まり、数十人とマイミクになるひともざら。まったくの赤の他人だらけの「顔の見えないネット社会」とは違うのだから、日記を消費するだけでなく、もっとオフラインへ発展させられるはずだと思うのだが、なかなかそううまくことは運ばないようだ。その要因の一つに、ネットでのコミュニケーションが完全なターンテイキング制(重ならず、相手が話し終わるのを待って順番に話す)であり、共感をたかめるのに重要なオーバーラップが難しいのが原因かもしれない。このあたりをもう少し深めつつ、次回は「もっと面白い使い方」を考えていきたい。

2010/07/16

成毛眞とamazonの7人の小人たち

投稿者 福田快活   7/16/2010 0 コメント
成毛眞は読書・書評の世界ではそうとう影響力あるんぢゃないかと思った。次第はこうだ――成毛眞『大人げない大人になれ!』を読む。最終章が「大人げなさを取り戻すための本棚」=推薦本リスト&コメントになってる。いくつか気になった本をamazonで検索する。たとえば『僕がワイナリーをつくった理由』を検索する。ページ中央に「この商品を買った人はこんな商品も買っています」が表示される。ここにパッと列挙されたのが成毛眞の推薦本だってのも驚いた。「ずいぶん購買欲あおってるな」と。欲、ていうか実際にみんな買ってるわけだが(笑)

まあ、でもここまではそんなに驚かない。成毛氏の推薦する本はどれもおもしろそうだし、そりゃ買うわ、と。ちうかおれもその1人だし、と。びっくらこいたのはこれ。見て欲しい。生化学者キャリー・マリスの自伝ていうか「おれエッセイ」なんだが、「マリス博士の奇想天外な人生」で検索して「積みすぎた箱舟」とか「社員をサーフィンに行かせよう」とか「ダチョウ力」とか「ご冗談でしょう、ファインマンさん」「僕がワイナリーを作った理由」「モーセと一神教」「コンテナ物語」が〈『マリス博士の奇想天外な人生』を検索した結果〉表示されてる。どれも著者・タイトル・内容・レビューをみるだけでは何の関連もない。『大人げない大人になれ!』て成毛氏がすすめてた以外の関連性はしょうじき発見でけんやろ。

これってamazonの図書検索マスクデータに成毛眞推薦本タグとでもゆうのが含まれてて、だから『マリス博士の~』タイトルを検索しただけで成毛眞を通じて関連性がうまれた他の本が表示される仕組みになってるんだろう。タイトルとかで検索してときどき、「なんやこれ!?なんの関係もないやんけ」て思うもんが表示されるのはこういう仕組みだったのかと納得。今日日の検索というか、検索機能の向上につとめるamazonの執念すごいね~~。世界の知をデジタルに組織化する、ていうグーグル的な攻殻機動隊的な未来・現在にまた一歩足踏み入れた実感。個人的に興味あるのは成毛眞推薦本タグがあったとして、どうやってそれを設定してるのか。人が設定してるんだろうか、それともロボット型で設定してるんだろか。人ならインタビューしてみたいし(相当本好きの人たちでしょう)、ロボット型なら仕組みをしりたい。誰か知ってたら教えてください。

成毛氏の本はいいのでおすすめ。ちなみにおれは(「大人げない」の「ゲ」と成毛眞の「ゲ」に関係はあるんだろか。。。。)読みながらずっと気になってた。

2010/07/11

iPadとiPhone4

投稿者 Chijun   7/11/2010 0 コメント
iPadを購入して約一ヵ月半,iPhone4を購入して約二週間が過ぎました。
どちらも極めて便利なのですが,個人的にはiPadの方がお気に入りかな?スペック的にはiPhone4の方が処理速度は速いはずなのだけど,筐体の小ささ故の熱対策のため,機能的な制限がかけられているらしく,体感速度としてはiPadの方が思いのままに動いてくれる感じ。
RSSやTwitter,メール,インターネットなど,どちらも情報収集のためのデバイス(つまり「読む」ためのデバイス)として使うことが多いのだが,ディスプレイの大きさゆえに,読むスピードもIPadの方が断然速くなります。iPhoneで30分かかる作業が,iPadでは15分で終わる,といったところか。
しかし連日こういったデバイスをちくちくいじくりまわしていると,「情報化社会」「情報の洪水」「インターネットの図書館化」といった単語が頭の中をよぎることがままあるのですが,情報との付き合い方というのは,よく考えないとどんどん難しくなってきていますね。実感としてはもはや「情報のカオス」に近く,大量の情報に簡単にアクセスできるようになった反面,情報の収集が自己目的化するというか,そもそも「情弱」にならないために気になる情報を全てチェックしようとすると,「可処分時間」すべて使っても足りないくらいになってきました。
情報を吸収する一分子と化すのみならず,優れた情報の発信者になるためにはどうすればいいのか。言葉にしてしまうと陳腐ですが,吸収した情報を頭の中で整理し再発信する自分なりのやり方を考えつつも日々は恐ろしいスピードで過ぎていきます。
情報というものについて,またその付き合い方,みなさんはどのように考えていますか?
 

もらいたばこ─┛~~ Copyright 2009 Reflection Designed by Ipiet Templates Image by Tadpole's Notez