あ、1本いいっすか?

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2010/03/31

ブランコ

投稿者 じん   3/31/2010 0 コメント
 アルバイトへ向かう多摩都市モノレールが住宅街の上を通り過ぎていく。何の変哲もない、少しさびれた住宅街。その一角に、不思議な公園がある。家と家の間の空地のような空間。それでも看板が歩道に面して建っているので、一応名前のついた公園なのだろう。一面の芝生の真ん中に一台のブランコがある。
 公園のブランコと言えば、小さいものでも大抵横並びに二つは鎖でぶらさげられた板があって、友だち同士二人並んでぶらぶらやるものである。すれ違いざまに顔を見合わせたり、どこまで高く上がれるか競争したりする。そしてスウィングの勢いにまかせて飛び降りて、どこか別の面白いこと、砂場や滑り台、ジャングルジムへと駆け出していくものである。しかし、この公園のブランコにぶらさがっているのは一つだけ。

 そのブランコに、時折、一人の少女が揺れている。たった一人、一人用ブランコがあるだけの公園に、いつも同じ、小学校四年生ぐらいの女の子が、立ったまま、勢いよくブランコをこいでいる。

 寂しそうに座ってこいでいてくれたほうが良かった。そうすれば、何か悲しいことがあったのだろうか、もしかすると、学校でいじめられているのかもしれない、と心配することができる。座ってこいだブランコが大きく揺れることはないから、もしかしたらそこにブランコがあることに気づかず、ただの空き地と気にも留めずに通り過ぎてしまったかもしれない。彼女が元気に大きくブランコを飛ばしているから、僕はいつも彼女を見つけ、そして困惑してしまう。どうしていつも一人なのか。どうしていつも勢いよくブランコをこいでいるのか。どうして大好きな犬のぺロちゃんや、お友達のじゅんくんと駆け回っていないのか。どうしていつも晴れた芝生が緑色に輝いているのか。
 彼女はいつもブランコに乗っている。けれど、いつも彼女が公園にいるとは限らない。彼女がいなくても、公園はいつもそこにあるから、その公園は彼女が現れるときだけそこにある、異世界的公園なのではないかと心配したり、興奮したりする必要はない。それは何の変哲もない住宅街にある、ちょっとだけ不思議なただの公園である。僕はいつもその公園をモノレールの窓から見ている。
 公園の名前を確かめにモノレールを降りたことは、まだない。

2010/03/27

ファンと書いてアニマル浜口と読む

投稿者 福田快活   3/27/2010 0 コメント
ちょっと異色のエントリーを紹介。このエントリーでポエミストはファンを減らしたに違いない。今後が心配される。今回引用者の指摘は〔〕でくくりました。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ほんまむかつくわ。ほんッッまむかつくわ。
ほんまむかつくわ
こんなむかつくやつおれへん。
ヤ、わかってんねん。こんな「むかつく」とかポエムやない言葉おれかて使いたないねんけど、今日はガマンならんねん。ちょっと言わせてくれ。

ポエマージョンや。

なにもんか?て、そんなんおれかて知らへん。いきなしメール寄越してきよって、そんなんこっちかて期待するやんけ。初ファンメールやで。ほんまはじめてするエッチみたいな期待が胸をドキドキさせるやんけ、ヤ、もちろんおれはセックスとかそんなんむっちゃ一杯してるけど、やっぱベッドに並んで座ってる子と会話とぎれたマ!とかドッキドキするやんけ。

せやのにいっきなしコメントするんでもなし、メール寄越してきおってこれや↓

こんにちわ。いつも楽しく読ませてもらってます。ポエマージョンです。ポエミストRYOICHIさんのポエムはいつも人生の応援歌として三木道三『Lifetime Respect』とループで聞かせてもらってます。〔ポエミストは時々ポエムの朗読をアップしている〕なんか他人な気がしないんです。

ポエム愛。ポエミストさんはポエム愛にあふれてますよね。ポエムっていいよね、ぼくほんとうにそう思うんです。だって人生に意味をくれるのはポエムじゃないですか。つらいとき楽しいとき苦しいとき嬉しいときしあわせなとき……そういう「とき」に気づかせてくれるのはぼくの中でポエムが生まれたときです。一篇の真実が80年代のバブルみたいにふわっと生まれてはじける、その一瞬がポエムなんです。なんてポエミストさんに僭越なことを。しょせんぼくは比較級のポエマーですから(笑)失礼の段ありましたらお許し下さい。ポエミストさんの更新楽しみにしてます。
出羽出羽

ありえへんやろ?おれのブログ読んでるみんなならわかるやん?「ポエムっていいよね、ぼくほんとうにそう思うんです。」はパクリやん。おれのエントリー「ポエムってええよな。おれそお思うねん」〔ハイパーリンク削除〕のパクリやん。ポエムはな、個人の内面を素直にありのまま詠いあげるのが信条や、ポエミストはとうぜん、ポエマーでもパクリは御法度やで!ポエムと80年代のバブルとかほんま関係ないし、出羽出羽とか意味わからんし、なんかバカにされてる気ぃするし、なにがいちばん許されへんってこいつ男やん!おれが初めてのチューや思うてドッキドキ眼開けたらそこにおったんわ眼閉じて唇そぼめたアニマル浜口やった……アカンへこんできた。

もう寝るわ。ほんまもー男はメールとかせんといてや。頼むわ。お腹いたなってきた(T_T)女子はバンバン送ってくれてええからな。待ってるで(ハート)

こんなエントリーを読まされたポエマージョンの反応が気になるねー。ふたりの友情物語それはまた次回~~

2010/03/26

路地logyの日曜日

投稿者 サトウ   3/26/2010 0 コメント
 日曜の午後、東京の路地を半日歩き回るという奇妙な体験をした。最初はただ友人と昼食をとるのにいい飲食店を求めてぶらぶら歩き出しただけだったのだが、「ちょっとあっち行ってみるか」「もうちょい行ったらいい店あるかもしれないしな」などと衝動にまかせて進んでいくとなんだか楽しくなってきて(天気もよかったし)、そのままなんと半日(ちょっと都電にも乗ったけど)歩き通してしまった。大通りから生活感漂う細い路地に入っていくと、なんだか不思議な印象にとらわれて、どうにも足が止まらないのである。汗まみれだし、足の裏も痛い。しかし止まらない。もはや自分たちの意志を超えた何者かがわれわれの足を動かしているとしか思えない。都電の終点の三ノ輪橋付近で日が暮れたときには、二人とも「これでようやくやめる理由ができた」、と思わず安堵のため息を漏らしたほどである。高田馬場から歩き出したときには、まさか夕方三ノ輪橋駅にいようとは思いもしなかった。

 なにがこれほど私たちの心をとらえたのだろう。大通りから細い路地に入っていくときの、あの高揚感はなんだったのか。名付けて路地ロジー(Roji-logy)である(くだらないですね)。

 路地歩きは、私たちの日常的な行動様式から二つの意味でかけ離れている。一つは空間的な、もう一つは時間的な意味においてである。

1) 空間的な意味における日常からの逸脱

 日常的な空間が、室内と街路との間にあるように、私的/公的の安定した境界を保っているのに対し、路地歩きにおいては、そのような空間の諸機能の間に引かれている境界線の揺らぎが起こる。車も通れないほどの細い路地に入り込むとき、定義上は公的な空間、すなわち「誰が歩いても許される道」であるはずの路地が、立ち入ることをためらわせるほどに私的な空気を横溢させていることがわかる。両脇に迫り来る家屋が否応無しに視界の大部分を占め、玄関先におかれた金魚の水槽の水面ではじける泡の音、門に立てかけられた杖、時代に取り残されたかのように古びて傾いた木造の家などの放つ濃厚な私的気配が、窓を閉め切った室内の空気のように、静かに淀んでいる。

2) 時間的な意味における日常からの逸脱

 日常的な時間が(どんな小さなものであれ)計画とその遂行の繰り返しによって成り立つとすれば、路地歩きはその正反対のものとして理解されるであろう。すなわち、進路の変更に次ぐ変更である。もっとも、変更されるべき進路があるのは日常的な時間から路地歩き的時間に移行する瞬間のみだ。その後は判断を可能な限り遅らせたまま歩き続け、分かれ道まで来たら直感にまかせて瞬時に道を選ぶ。路地そのものを味わうためには、路地がどこかへ向かうための一経路に堕してはならない。路地歩きは、前進することなしに成立しないのだが、同時に「どこか」を目指してはいけない、というジレンマを孕んでいる。

 以上の二点は緊密に絡み合っている。用事があって駅を目指して急いでしまえば、いくら空間的な味わいのある路地でも「ただの道」であるし、暇で目的なく歩いていても、そこが前述の「揺らぎ」ある空間でなければ駄目である。

 理論編は以上。次回(っていつだろう)は路地歩き実践編である。乞うご期待。

2010/03/21

電子書籍と紙の本(1)

投稿者 Chijun   3/21/2010 0 コメント

連載になるかどうか分からないけど,とりあえず(1)なんて付けてみた。

わたしはどちらかといえば本をそれなりに読んできた人間なのではないかと思うのだが,ルビ(ふりがな)に使われる仮名が,「ゃ」「っ」などの小さな文字を含め全て大きな文字である,ということに気づいたのは最近の話だ。実に恥ずかしい。(しかし,これ読んで気づいたひとも必ずいるはず・・・)

わたしはいま,「ゃ」「っ」と書いた。最初「ゃ」 「っ」と書いてみたのだが,二つのかぎかっこの間が離れすぎていてまぬけに見えたので,「 」を半角ものに直してみたのだ。「全角」(=1)や「半角」(=1/2)はパソコンをふつうに使っている人なら誰でも馴染み深いだろうが,これが本格的な組版(「印刷の一工程で、文字や図版などの要素を配置し、紙面を構成すること」by Wiki)になると,「三分」(=1/3)や「四分」(=1/4)のサイズなどまで調整することができる。こういうネタは広げればいくらでもあるのだが,要するに,本の紙面には,読者に意識されないような細かいところで,美しく,読みやすくするための知恵がいろいろと働かされているのだ。

「電子書籍」にまつわる話が,最近実に賑やかである。iPhone,Kindle,そして近日発売予定のiPadなど端末の充実が進むに連れ,これまで何度か頓挫してきた「電子書籍」が,どうも今回は本当に一般に浸透していきそうな勢いである。Amazonでは,誰でも簡単に,文章をデータとして登録することで自費出版が可能になる,という話もあるようだ。かくいうわたしも裁断機とドキュメントスキャナを購入し,棚を占領している本のうち,まずは文庫本から電子化作業をちくちくと進めている。裁断機でバスンとひと裁ち,スキャナでビュンビュン読み取るのに,一冊10分とかからない。きっとiPadも発売と同時に買うであろう。

これはある意味おかしな話で,出版社から読者の手元に届くまでにデータを紙に印刷したものを(元原稿が手書きのものもまだあるけど),また読者が手元でデータ化する,というこっけいな事態になっている。実際そう感じた人たちが,「著者→出版社→組版所→印刷所」という本を作るまでの流れの中で,人によって程度は異なるようだが,総じて「下流にいくほど不要である」という意見をあちこちに書いている。極論すれば,「パソコンがあってインターネットできれば,誰でも作家」ということになるだろうか。確かに,無名人わたしもここにこうやって,素人の手すさびのような文章を,不特定多数の読者の目に安易にさらすことをしている。

たとえば出版社(=編集者)が必要か否かという議論はおもに,「本の内容をブラッシュアップすること」に焦点がおかれているようだが,長い紙の本の歴史の中で培われた技術,たとえば上で簡単にだが述べたような,気づかれないところで読みやすくするような技術の蓄積についても,もう少し触れる人がいてもいいんじゃないかと思う次第です。

2010/03/15

とろとろと

投稿者 じん   3/15/2010 0 コメント
燃える火を見ている。

とろとろと、おれんじ色の火がゆらめいている。土産物屋の小さなガラス人形のようになめらかで、透き通っていて。火を絶やさないように、紙くずをくべながら、ただただ、それを眺めている。

はじまりは一枚のメモ。頭の中のもやもやに、かたちをつけることができず、ふと、火をつけてみる。じわじわと、はしからのみこまれていき、やがて、黒一色に消える。

憑かれたように、火をそだてる。小さな炉の中から、手を伸ばすようにして、そだつ。

やがて火は小さくなり、白い煙が部屋に広がり、満ちる。満ちる。解放されるような、包まれるような安心感は、ただ煙を吸いぼんやりとしただけか。

  このまま、とろとろ、眠りに、おちたい。

けれども隅の理性がそれを許さずに、きちんと火の始末やら換気をさせる。寝巻きに着替え、ベッドによじ登り、

あいつがうわさのポエミスト(最も詩人)

投稿者 福田快活   3/15/2010 0 コメント
第1章~人生はポエムや。おれそぉ思てんねん~

ちょっとおもしろいブログを発見した。感性と潜在能力だけでネットの広野を渡ってくブログ界のボブ・サップ、なんの努力もせずにオモシロでオンリーワンな90年代型ダメ人間のあこがれの的、唯一無二のポエミスト(最も詩人)だ。URLは貼らない。万一検索してブログ発見しても書き込みとかして刺激しないように。彼にはありのままの素直なジブンでいて欲しいから......

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
おれの名前は井ノ原良市(いのはらりょういち)。愛称はイノッチ(本名なのるとこが日本人離れしたセリエA級:引用者)。ポエミストや。ポエミストゆぅんはな、ポエム主義にしてポエム最上級、当然ポエットとかポエマーとかより↑や。てゆぅてもわかれへんわな。しゃあないねん。気にすんな。世界はヒロシやァゆぅても(「世界広しといえど」の誤か:引用者)ポエミストはおれだけや。ゆうたら未知との遭遇、知らんもんはな、人間理解でけへん。ソリャしゃあない。せやからこれからおれが、おまえらにポエミストってなんや?ポエムってなんやって教えたるわ。

人生はポエムや。おれそぉ思てんねん――これがおれの座右の銘や。わかるか?座右の銘。座っとるとこの右においてる言葉、が座右の銘や。あ゛。なんで右か?ってそんなんあれや、おまえ、なんや、右の方がとりやすいやんケ。そやで、右利きのんが多いからな。世の中。もちろんおれも右利きや(自分の座右の銘を解説せずに成句「座右の銘」を解説する人はじめてみた......:引用者)。右で箸もつし、ペンもそやし、握手も右、キャッチボールもみぎ、ん゛?キャッチボールどっちや?

最近キャッチボールしてへんナア。風がおれ呼んでるわ。コーンウォールの風、さわぐ金波――実り豊かな小麦や、お百姓さんがつくった小麦おいしいパンになんねん。人間パンないと食ってけへん。パンだけでも食ってけへんけどな。お釈迦様もゆぅとる。ふぐ、でも変やな。お釈迦様はインドの人やろ?インド人パン食うんか?そっか、わかったわ。「人はナンのみに生きるにあらず」や。ほんまはナンやねんけど、ナンではわかり辛いやろ思て翻訳する人がパンに変えたんや。騙されるとこやったでほんま。

これを座左の銘にしよ――人はナンのみに生きるにあらず。右が「人生はポエムや。おれそぉ思てんねん」。前と後が空いてんな。あかん。けちくさいことゆうたらあかんわ。四方どころか十六方位埋めたろ!・・・・・・・・・・・・あかん、ここで全部ゆうたらもったいな過ぎるわ。続きはまた明日や。ほなな。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

この明らかに、思いつかなかっただけなのに「もったいない」と虚勢張る〆といい、天才的なものを感じざるを得ない。ここまで他人を気にしない純粋な天才が棲息し続けられるほど、ネットは甘くも無関心でもないと思う。でも一方で賭けてみたい気もする。彼のような才能が路傍の花として咲きつづけられる優しさある社会を。生きとし生けるものが喜び、笑いさざめき慈愛に溢れる社会を。そんなネットの可能性に誰が期待してるのかわからないけど、とりあえず期待だけして何も貢献せず、ポエミスト観察レポ「あいつが噂のポエミスト」は続きます。ポエミスト井ノ原良市の才能が輝いてる限り。

2010/03/08

新聞って怖い

投稿者 サトウ   3/08/2010 1 コメント
 おもしろいバイトをしている。一日中電子データ化された新聞記事を読み続けるバイトだ。たとえば「野口聡一とは誰ですか」などとあらかじめ与えられた質問にたいして、検索で出てきた記事が、答えとして適切かどうかを判定する。

 ここにはもちろん、普段はぜんぜん興味をもたないような事柄について詳しくなる、というおもしろさもあるのだが、もっとおもしろいのは、同じ題材を扱う大量の記事を読んでいくと、各々の記事が単体で伝えること以上のもの、すなわち読者をある方向に誘導する「新聞の意図」とでもいえそうなものを読み取れることだ。

 私は新聞をとっていないから、普段はラーメン屋とか喫茶店で暇つぶしに新聞をめくる程度である。そういうときは面白い記事もあれば面白くない記事もあって、「ああ、今日も世の中はこんな感じなのね」と思うだけで終わりだ。視界のほとんどは「いま」に占められて、残りの部分もせいぜい「続報」や「見通し」という形で前後数日分ぐらいがおぼろげに見えるだけだ。しかし、このバイトでは、たとえば「ハンセン病とはどんな病気ですか」という質問について、数年ぐらいの期間に出た200件ぐらいの記事を読んでいく。すると、この病気に関する新聞の報道は、その99%が「ハンセン病の元患者と政府との闘争」という物語を採用していることがわかる。病気の症状がどんなものか、具体的に伝える記事がまれにあっても、それはある特定のハンセン病の患者が、愚かな政治によっていかに虐げられたか、という個別の体験談で、「○○さんは視力を失った」とか「××さんはまゆ毛がなくなった」という程度の記述だ。もし今回のバイトで写真まで見る機会があれば(写真まではデータ化されていなかったのだ)、元ハンセン病患者の外見がどのようになっているか、写真によっては一目でわかるかもしれない。しかし、写真が伝えるものはむしろ文字よりも個別性の高い、一人一人の患者の情報(△△さんの外見はこうだが、□□さんの外見はこうだ)であり、よほど多数の写真を見ない限り一般的なハンセン病の症状を伝えるにはいたらない。ここに私たちは、明らかに意図的な書き落としを読み取ることができる。新聞は一般的なハンセン病の症状や外見を、決して詳述しない。「ハンセン病っていう病気だった人たちが政府ともめているみたいだけど、そもそもハンセン病ってなに?」という人にとって、このような記事は何の役にも立たない。たぶんwikipediaを見たら一発でわかるようなことが、新聞では一向にわからないというのは、ちょっと異様である。なぜこんなに大きな「穴」が空いているのだろうか。

 それはおそらく、症状や外見を記述することが、元患者の政府との闘争に良い影響を与えないからだ。元患者たちは、自分たちへの差別が撤廃されることを望んでいる。差別の撤廃とは、自分たちと他者との「差」が認識されず、一般の人から見たら「別」の人間だ、とみなされないようにすることだ。新聞は、もちろん社会的正義にのっとって、この差別撤廃の実現に向けて世論を動かそうとする。それは、社会的正義を声高に唱えるという「言語の過剰」だけでなく、ある種の情報を意図的に書き落とすような「言語の不足」によっても行なわれているのだ。 

 差別は言語の機能と深く関わっている。私たちは、言語によって混沌とした世界を区切り、秩序立てている一方、「正常な」自己と「異常な」他者とのあいだに境界線を設けることで、自分と異なる人々を不当に排斥してしまうこともある。新聞が症状や外見を書かないのは、記事上でハンセン病の具体的な症状や外見を記述することで、一般の人々が道ゆく人のなかから「あ、あの人はハンセン病だ」と認識できるようになってしまうと、差別の根源である認識上の境界線をかえって太くしてしまうからだ。

 ハンセン病の元患者は、もちろんいままで受けた不当な差別の代償を十分に受け取るべきだと思う。しかし、それとは別に、私は一見客観的に見える新聞記事の記述の意外な恣意性を目の当たりにして、扱う題材によっては世論を悪い方向に誘導することもできるのだと知って「ああ怖い」と思った。新聞をよく読む人にとっては当然のことなのかもしれないし、「メディアが客観的だとは限らない」という言い回しも実際よく聞くのだが、自分で体験したのは初めてだ。

2010/03/03

「インターネット 小説」

投稿者 Chijun   3/03/2010 0 コメント

ふうううううぅぅぅぅぅ~~~~~、っと。

「窒息しちゃうよ!窒息しちゃうよ!」 かわいらしいマスコット化した体中の細胞くんたちの悲鳴が聞こえてきそうなほどに、Kは大きくため息をついた。

こんなはずではなかったのに……。

ではどんなふうになるはずだったのか? 彼の計算によれば、原稿用紙十枚程度の短編であれば、二日あれば終わる(前回がそうだった)。十枚程度の短編にあって、最も重要なのは構想である。えもいわれぬ機転の利いたアイディアである。ひらめきである。書き始めさえすれば、二日で終わるのだ。ならば。執筆時間を残して締め切りのぎりぎり二日前までは、じっくり構想を練るのがよい。あとは、書き始めさえすれば……。
ところがどうしたというのだ? 締め切りまで一日を残して、Kの青ざめた顔色以上に、パソコンのディスプレイはまっしろではないか。つまり、こういうわけである。――残り二日になるまで構想する。これはある程度うまくいったといってよい。構想、すなわち、トイレのなか、風呂のなか、電車のなかで、なんとはなしに想い巡らせればそれでよいのだと思っていた。Kは自分に甘い男だった。

「インターネット空間=異界。」

「仮想現実をむしろ肯定的に。」

二、三行のメモだけを産み落としてはかなくも散った貧しい想像力に疑問を抱くこともないまま、――いまこそ第一段階は終わった。あとはパソコンに向かうだけである。書き始めさえすれば、……。

一日の猶予もない二日分の執筆期間。その第一日目が終了した時点で、Kは自分の誤算に気づいた。

確かに、行き方さえ間違えなければ、二日間で結末にたどりつける。しかしもし、一日目の最後に思わぬ袋小路につきあたり、その日一日の労働がまったく無駄になってしまったとしたら? 構想が、思ったようにはかたちにならぬことを思い知らされるハメに陥ったとしたら?

そうなってしまえば、その時点で即ゲーム・オーバーではないか。一日目の原稿をすべて破棄、二日目一日で書き上げるというのは、凡庸なKには至難の業である。しかもあたためすぎた構想は全て破綻し、Kにはなにも残されてはいないのだ。
あにはからんや。Kはゲーム・オーバー……しかけている。

「インターネット 小説」

やはり困った時は、ツールバーにましますグーグル様だのみである。グーグル様の検索という御手は、はたしてKを救うことができるだろうか?


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2008年7月23日 ... 中国では,インターネット小説というジャンルが確立しており,人気を博している。プロ作家ないしプロを目指す人も多く作品を公開しているので,日本のケータイ小説などよりはクオリティが高いと思われる。ただゲームを出すよりも, ...
www.4gamer.net/games/051/G005102/20080723057/ - 71k - キャッシュ - 関連ページ - メモをとる」


はいはい、やっぱりそうきたか。でもでもちがうんだよなあ。ぼくが求めてるのはこういうのじゃないんだよね~。リンクをクリックしたりはしないぞ、と。なんといってもおれには時間がないのだ。おれが欲しいのは、インターネットに書かれた小説、じゃなくて、インターネットをテーマにした小説なのだ。
なんとも自分勝手なKの言い分ではないか。Kの愚手にかかっては、さすがのグーグル様とて……。悪いのはもちろんグーグル様ではない。凡庸に凡庸を極めるKの検索のかけ方であることは、言うまでもない。――それはさておき……。Kは次の手段にすがることにした。

これでもないこれでもない……某巨大掲示板の一覧をさまよううつろなKの視線は、「創作文芸」の項を通り過ぎ、なぜか「ポエム、詩@2ch掲示板」のところで止まった。

「なにこれ。おもしろそうじゃん。」

ただそれだけの理由である。時間がないことはさておき、Kはたやすくリンクをクリックした。……と思いきや、Kの股間がそうはさせない。
なにやら股間がむずむず訴えてくるではないか。ポエムはさておき、愛しの彼女はエログ……いやいや、ブログを更新しただろうか?

――――――

「ふうううううぅぅぅぅぅ~~~~~、っと。さてと。執筆に戻ろうか。」

……ダッシュ一本で澄まし顔。なんと厚顔無恥な男。コトここにいたり、著者は神聖なる作家という職業を騙るこの男をのさばらせておくわけにはいかなくなった。Kの恥部を貼り付けよう。賢明なる読者諸氏の眼を汚すのは忍びないが。

http://amebro.jp/nakamura-miku/

なんともハレンチなやつである。執筆という神聖なる労働と並行し、この男はグラビア・アイドルの写メに興奮し、……これ以上は書くこともKに裁きを与えることもできない。せめてリンクを貼る程度が、わたくし著者にできる限界である。

現在時刻は4:30。……って、あれ? 日付変わっちゃった。締切りすぎてるじゃん。あ~あ。また原稿書けなかったお。とりあえず、もう少しネット見てから今日は寝よっかな。

とりあえず、ね。 

――――――
562 :名前はいらない:2008/11/01(土) 04:54:59 ID:Q6CTEF19 ⊇`揺れるイカ§

海水浴場にあふれる

街中にあふれる

地下鉄にもあふれる

イカれた自殺者ぞんびーず

潰れた頭ペッコペコ

歪んだ背骨ガッシャガシャ

飛び出た眼玉トゥモモローン

なんだかイカしてる

今、誰かが飛び降りて

今、誰かが切り裂いて

今、誰かの未来がチアノーゼ

イカんなぁ小島よしおは

誰が殺した

社会が殺した

親が友が夢が世界がお前が殺した

そりゃイカがなものか

いかっぽいあくたがわも

いかがわしいひとらーも

いかめざしたとなりのえろてぃっくろうにんせいも

みーんなみんな

イカいに他界で人間イカ


だが八宝菜のイカの香ばしさよ

563 名前:名前はいらない :2008/11/01(土) 05:13:37 ID:Q5/ywNIU 

        / /   |l /::/       \ \
.      ,イ   |    | |/:::::/   ,イ  ∧  l ヽ \
/   |    | |:::::/ ィ'"¨/ | /  V 、!  ヘ  ヽ
,′  |   l | / ,/ / .| /   ∨|ヽ ハ  ヘ   あ、ここって詩板なんだって~。
i    |   〈j::/ ,/ /   l/     Vヘ  |  ,∧  私も詩集とか読む事あるんだぁ。
| | !    ∨ /,>=ミ. /    ,r=く }|  l| ト、',  面白い詩とか、優しい詩とか、
| | l      V,勹::::ハ '      jr'ハ∨  ||| ヽ 色んな詩があって楽しいんだよ~。
l|八  ', :|   《{::ト :::ノ|      |{::リ }  /! ト、:|
| |∧ ヽ/∨ハ   V弋rリ     Vノ ∧/|| ',l!   詩を書ける人ってあこがれちゃうな☆
Ⅵ V { V::ヘ    ', ¨´      '  '' |  :|/ リ   私も物書きさんになってみたいよ~><
ヽ  V 廴.∨:::ヽ、 ヽ    ( フ   ,.ィ|  :|
∨ ト、.∨ト、\  ヽ 、 _ ..< |/八 ,' 
∨| \{ ̄ ̄\ \/j/}/ |  }/
ヽ|   |\:: :: :: >- \     /
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