あ、1本いいっすか?

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2010/12/13

曖昧なピンホールカメラ

投稿者 福田快活   12/13/2010 0 コメント
ピンホールカメラってご存じかしら?

レンズがなくって、小さな穴を通して集まった光を感光素材に焼き付けるだけ。それだけのシンプル、原始的なカメラ。ファインダーなんてないからカメラがとらえてる範囲なんて全然わかんないし、ぼくはふつーのデジタルじゃないカメラフィルムをつかってるんだけど、一枚撮るたびに自分でつまみを巻いてフィルムを先送りしないといけない。フィルムは現像にださないといけないから、出来上がるまでにまた間がある。とても不自由なんだけど、その不自由さはぼくをゆったりさせるし、できあがった写真の光はやわらかく、輪郭は曖昧で、きれい。デジタルだと色も光も形も、まあそれはぜんぶ光なんだけど、くっきりと、肉眼より明確に映しだすのがしょうじき居心地悪かったりする。不自然な。

デジタルは0と1で分断されてて、アナログは現実そのままののっぺり、音源とかだとそういう風にひとむかし前は言われたりしたけど、デジカメで撮った写真の異常なくっきり感とピンホールカメラの欠落感は、いっけんデジタルの方が地続きで、アナログ=ピンホールカメラの方が分断されてる印象をあたえておもしろい。でもそれでもデジカメの異常な鮮明さは、どれだけ緻密になっても残ってしまう0と1のあわいに由来するのかもしれない。ピンホールカメラが写しきれないものは沢山あるんだけど、やさしく、気持ちを落ち着かせるのは自然だから、かもしれない。そうすると自然ってなに?やさしいってなに?ってなってぼくにはそれの答えはないんだけど、気にはなって、撮ることで答えがみつかるとも思わないけど、ピンホールカメラで写真を撮り続けるんだと思う。曖昧な、はっきりしない写真を求めて。
 

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