あ、1本いいっすか?

Next Writer:Chijun

up-date: Sun, 18, Mar.


Next Writer:Chijun

up-date: Sun. 18, Mar.

2011/03/21

カンナとカカシ(11)

投稿者 Chijun   3/21/2011 0 コメント
しかたなくカカシはひとりで歩きだした。だれもいなくなるときゅうにさびしくなって、とたんにカンナのことが頭に浮かんでくる。最後は13を押すのよ、ちいさなカンナはいっていた。けれどもう、33回のうちなんどエレベーターを乗り継いだのか分からない。もう、どうしていいか分からない。優しそうなおにいさんが答えてくれたケータイも、ふたり組のかたわれに取りあげられたままだ。



だれもいない廊下を、自分を元気づけるように、カカシはステップをふんで歩きだした。すると今度は、ちかくにだれもいないことが、ひどくカカシを安心させたんだ。きっと、ここのやりかたにも慣れてきていたんだね。まるで酔っぱらいのように、カカシは踊りながらすすんでいった。カカシがまわればかべもまわって、それでだんだんたのしくなって、ついには、あか、しろ、きいろの花火がまわりでくるくるはぜるようだ。まわればまわるほど、どんどんカカシはきもちよくなる。この花火がかたちになって手に持つことができたなら、ぼくはカンナをよろこばせるだろう。そんな夢みたいなおはなしも、きっとここでならできるにちがいない。ああひとりきりひとりきり、なんてきもちがいいのだろう。……



へとへとになるまでまわってようやくカカシがまわるのを止めると、ついさっきまでいたはずの白いちめんのつめたいきゅうくつな建物はどこかにいってしまって、そこはほんとうに気持のいい、ひろびろとしたスペース空間になっていたんだ。

みどりの芝生がいちめん、ちゃんとおなじ長さに刈りそろえられている。

あかしろきいろのお花がみわたすかぎり咲きほこっている。

見あげると天井にはぽっかりまるい穴があいていた。その穴は空にむかってはてしなくつづいていて、とおくなればなるほど穴はちいさく見えるようになって、ながいながい吹き抜けのかなたには、おおきな光のかたまりがさんさんとかがやいていたんだ。
カカシは、ひさしぶりに太陽を見た気がした。
太陽の光が舞い降りるきれいなお庭のまんなかに、きらきらとかがやく池があってね。カカシはさそわれるように池にむかって歩き出した。すると近づけば近づくほど池のむこう岸がとおくなり、ついには果てにみえないほどになってしまい、カカシが池の目の前にたどりつくころには、深い青がまるでおだやかな海のように広がっていたんだ。

とおく、なみひとつない水面のかなたにぽっこりちいさなボートが浮かんでいる。そのうえにはどうやら、男のひとと女のひとがふたりきりでのっかっているようだった。

2011/03/05

カンニング事件報道を日経が斬る

投稿者 じん   3/05/2011 0 コメント

http://allatanys.jp/A001/20110303.html

ここ数日京大のカンニング事件の報道が続いた。私は朝日しか新聞を読まないが連日一面トップである。内容は朝日らしく警察の捜査で用いられた科学技術を詳細に解説するもので、事件はその実例扱いである。

あらたにすを見れば、読売も連日この事件を一面で扱っているが、容疑者が特定されたことを報じる3月3日の朝刊一面トップ記事の見出しには、わざわざ「携帯は母が契約」とあり、脛かじりの浪人生というゴシップ臭を強調するこれもまた読売らしい扱いのようだ。

そんな中、あらたにすのコラムで、その日の朝刊について一言語る「編集局から」に掲載された日経のコメントが良い。

携帯電話を使った大学入試のカンニング問題は、夜になって仙台市在住の男子受験生の関与が浮上 しましたが、特異な「手口を除けば重大事件とはいえず、社会面で展開しました。

その通り。

個人的には事件発覚時の記事で、ペンやメガネに仕込んだ小型カメラを使用した可能性を示唆する探偵事務所のコメントを掲載し、大量の問題を共有するには写真よりも動画を撮影する方が効率的と、ガジェット談義に花を咲かせる朝日新聞が好き。カガク・ブンカの朝日バンザイ!!

 

もらいたばこ─┛~~ Copyright 2009 Reflection Designed by Ipiet Templates Image by Tadpole's Notez