おじいちゃんがいた。杖に体重かけてプルプル震えながら、その小刻みなビートがロックなじいさん、見かけたのはコンビニのレジ。ampm。どうも言い合いをしてるんじゃないか、と気づいた瞬間、耳のボリュームがじいさんのやり取りに焦点されて、ノイズが遠ざかってく。「なんかおもくろいことであるんじゃないか」の期待に、胸がワクワク、体をレジの近くへとずらしてく。おじいちゃんはカレーと線香のまじった臭いがした。ククレカレーだ。
「塩こんぶはないのか?」「さきほどから言ってますとおり、そこにあるものだけでして」応答する店員は名札に「ガナシュ」何人だろ?顔立ちから察するには西南アジアっぽい。大変だな、外国にきてヘンなじいさんの応対か。「これは塩こんぶじゃない!てなんどいえばわかるんだ。おまえは何を考えてるんだ?そもそもお前は日本人なのか?ちょっと日焼けしすぎじゃないか」「いえ違います。でもそれはまったく関係ない思います」「日本人にしか塩こんぶはわからん。日本人をだせ、日本人。ここは日本だ!おまえは日焼けしすぎだ」「ですから、しおこぶはありません。申し訳ありません」「おまえじゃ話にならん。店長だせ!店長!」「てんちょうは私です。申し訳ありません」「おまえが店長!なにをいっとるんだ。店長は日本人じゃないといけないんだ。店長が日本人じゃないと日本は日本じゃない!おまえは日本人か?」ここが正念場だ。ガナシュの覚悟が全身からつたわる。間違ってないぜ、心でエールする。「はい、日本人です。。。。あ、沖縄出身です」あ、なんとか逃げたな。と思ったそのとき、杖を両手でトン!と体の正面についたじいさんは「そうか。ならよろしい。しっかり職務に励むように!しかしお前は日焼けしすぎだ」と、店内に不可思議な弛緩を残して立ち去った。おれとガナシュは顔を見合わせた。聞くと毎度の常連で、しかもその店舗の土地所有者らしい。「ほんとうの店長」にそう紹介された、らしいから本当だろう。よく顔を出しては、似たような珍問答をくりかえし、それも手を変え品をかえ、今日は塩こんぶだったが、この前はビーフストロガノフ、その前は美空ひばり、なんでもありの世界の住人。会話とも呼べない会話を数分して去っていく。とくに迷惑がかかるのでもないからぼくはかまわない、とガナシュは言う。毎回同じことを聞くのであれば、世界が止まってループしてるんだ、とわかりやすいが、このじいさんは謎。じいさんの世界がどうなってるのかは誰にもわからない。
「塩こんぶはないのか?」「さきほどから言ってますとおり、そこにあるものだけでして」応答する店員は名札に「ガナシュ」何人だろ?顔立ちから察するには西南アジアっぽい。大変だな、外国にきてヘンなじいさんの応対か。「これは塩こんぶじゃない!てなんどいえばわかるんだ。おまえは何を考えてるんだ?そもそもお前は日本人なのか?ちょっと日焼けしすぎじゃないか」「いえ違います。でもそれはまったく関係ない思います」「日本人にしか塩こんぶはわからん。日本人をだせ、日本人。ここは日本だ!おまえは日焼けしすぎだ」「ですから、しおこぶはありません。申し訳ありません」「おまえじゃ話にならん。店長だせ!店長!」「てんちょうは私です。申し訳ありません」「おまえが店長!なにをいっとるんだ。店長は日本人じゃないといけないんだ。店長が日本人じゃないと日本は日本じゃない!おまえは日本人か?」ここが正念場だ。ガナシュの覚悟が全身からつたわる。間違ってないぜ、心でエールする。「はい、日本人です。。。。あ、沖縄出身です」あ、なんとか逃げたな。と思ったそのとき、杖を両手でトン!と体の正面についたじいさんは「そうか。ならよろしい。しっかり職務に励むように!しかしお前は日焼けしすぎだ」と、店内に不可思議な弛緩を残して立ち去った。おれとガナシュは顔を見合わせた。聞くと毎度の常連で、しかもその店舗の土地所有者らしい。「ほんとうの店長」にそう紹介された、らしいから本当だろう。よく顔を出しては、似たような珍問答をくりかえし、それも手を変え品をかえ、今日は塩こんぶだったが、この前はビーフストロガノフ、その前は美空ひばり、なんでもありの世界の住人。会話とも呼べない会話を数分して去っていく。とくに迷惑がかかるのでもないからぼくはかまわない、とガナシュは言う。毎回同じことを聞くのであれば、世界が止まってループしてるんだ、とわかりやすいが、このじいさんは謎。じいさんの世界がどうなってるのかは誰にもわからない。