2010/05/19

二つの対談~保坂和志と佐々木中,大江健三郎と中村文則~

投稿者 Chijun   5/19/2010
最近立て続けに,文筆家同士の対談を二件ばかり聞いてきた。
一つ目は,五月九日,青山ブックセンター本店での,保坂和志と佐々木中の対談。二つ目は,五月十六日,講談社での,大江健三郎と中村文則との対談。
前者は佐々木中という,ベテラン作家保坂和志が一押ししている若手評論家の対談で,後者は大江健三郎賞の授賞式であった。奇しくも両者ともに「ベテランー若手」というペアだったが,共通点はそれだけではなかった。ステージ上に二人並んではいるのだが,どうも話が噛み合っているように見えない。単純に発話量の点でいっても,一人が九割方しゃべり倒すという,およそ対談とは呼びがたいものであった,と思う。ちなみに,前者では若い佐々木中が,後者では,ベテランの大江健三郎が大半の時間しゃべっていた。
別に内容を批判するのではない。ただ「対談」という以上は,そこは独演会のステージでもなければ,くだを巻くための居酒屋でもないのだから,なんというか,二人の間で,「建設的な発展のある話」を聞かせてもらえなければ,どうも損した気分なのである。別に「激しい衝突」でも構わない。とにかく「ふたり」いなければ生じないような何かを期待したい。こっちは身銭切って時間をつくって聞きに行ってるのだから。
「対談」というのもある種のライブなわけで,うまくいくときもあれば,しらけるときもあるのでしょう。本をひとり自室で読んでいるだけでは得られない何かを一時きらめかせてくれるような,名対談はどこかに落ちてないかしら。
あっ。そうそう。来月は最近「「悪」と戦う」を出版した高橋源一郎と,昨日「クォンタム・ファミリーズ」で三島賞を受賞した東浩紀の対談を,再び青山ブックセンターに聞きに行ってきます。いいライブに立ち会えることを祈ります。

2 コメント on "二つの対談~保坂和志と佐々木中,大江健三郎と中村文則~"

じん on 2010年5月20日 7:19 さんのコメント...

作家をおもしろくしゃべらせるのは誰の仕事なんでしょうね。

ツボを押さえた質問の出来る聴き手か。作家をうまくノセられる司会者、企画者ら運営側か。人前に出ることも仕事としっかりと準備のできる作家自身か。

即興演奏に重きを置くジャズミュージシャンでも、コード展開というしばりのなかで、関わる人間すべてが"hot"になるため練習を重ねているのだろうし、ステージを成功させるのに事前準備は必須ですよね。

ところでそういうステージングが巧い作家さんていますか?

せんちゃん on 2010年5月28日 16:06 さんのコメント...

一般的には、面白いかどうかって、しゃべっている本人次第だ、と思うけどね。まあ例外はあるにせよ。

何故なら、吉本ばななは誰としゃべってても面白いからである!!
(全部足したら1000ページ分くらいのあらゆる対談、インタビュー等々読んだんで間違いないです)

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